親知らずの抜歯の際に気をつけることって?

親知らずの抜歯の際に気をつけることって?
 

患者さんにとって、歯を抜くという行為は非常にストレスのかかることです。ただ、皆さんもよく聞いたことがある「親知らず」(第三大臼歯)は、どうしても抜歯の対象になることが多くなります。

 

詳しくは親知らず治療のページでも解説していますが、現代人は顎が小さくなり、正常に親知らずが生えるケースも少なくなっています。すると、歯ブラシも届きにくく、汚れも溜まりやすくなるため、強い痛みや腫れが生じ(これを 智歯周囲炎:ちししゅういえん といいます)、多くの場合、抜歯しないといけない状況になるのも事実なので、悩ましいところですよね。

 

このコラムを読んでくださっている方の中には、親知らずを抜歯する予定があり、憂鬱だと感じている方もいらっしゃると思います。

 

もちろん医療法人社団 千仁会の多くの専門医が在籍するポラリス歯科・矯正歯科ならば、安心して親知らずの抜歯もお任せいただけますが、今回は、親知らずの抜歯の流れや生え方による違い、万が一に備えて知っておきたい偶発症、抜歯前に気をつけたいことなどについて、解説しておきましょう。

親知らずの抜歯の流れ

親知らずの抜歯はしっかりと麻酔を効かせたうえで行われるため、特殊なケースを除き、処置中は痛みはありません。
 

親知らずの抜歯は生え方によって方法が異なります。ご安心いただきたいのですが、親知らずの抜歯はしっかりと麻酔を効かせたうえで行われるため、特殊なケースを除き、処置中は痛みはありません。

 

ただ、歯を揺らされる圧迫感や、骨を削る振動を感じることはあります。また、処置時間は状態にもよりますが、30分~1時間程度です。

親知らずがまっすぐ生えている場合

親知らずがまっすぐ生えている場合の抜歯
 

親知らずがまっすぐ生えている場合は、比較的シンプルな方法で抜歯します。麻酔後にヘーベルと呼ばれる抜歯専用の道具を用いて、少しずつ歯を揺らして動かし、骨から歯を剥していきます。一気に強い力を加えると歯が折れてしまうこともあるため、慎重に揺らしていくのがポイントです。

 

この時、顔全体に力がかかっているような感覚を覚えることがあります。また、歯が骨から外れる時に「ミシミシ」という音が聞こえることもありますが、骨から歯が剥がれている音なので心配いりません。その後、鉗子(かんし)と呼ばれる道具を使い、歯を掴んで引き抜きます。

親知らずが歯茎の中に埋まっている場合

親知らずが歯茎の中に埋まっている場合(埋伏歯)
 

冒頭でも触れたように、現代人の親知らずは横向きに生えている場合が多く、さらに歯茎の中に埋まっているケース(埋伏歯:まいふくし)も珍しくありません。このような親知らずの抜歯は、真っすぐ生えている場合とは異なり、時間がかかることも多くなります。

 

まず、レントゲンやCT撮影を行い、親知らずの位置や状態を確認します。その後、麻酔で感覚を麻痺させ、歯茎を切って親知らずを露出させます。

 

顎の骨の中に親知らずが埋まっており、歯に骨がかぶさっている場合は、骨を削ることもあります。また、横向きに生えている親知らずは、一度で抜くことができないため、歯の頭を分割するといった処置が必要になります。

 

抜歯できる状態になった後の抜き方は、まっすぐに生えている親知らずと同様です。最後に、切開した歯茎を縫合して完了します。

親知らずの抜歯でまれに起こる症状

親知らずの抜歯は、ごくまれに体に起こる望ましくない症状が現れることがあります。これを偶発症(ぐうはつしょう)と呼びます。抜歯後の痛みや腫れといった症状も、広い意味では偶発症の一つと言えますが、中には注意が必要な偶発症も存在します。

 

以下で代表的な4つの偶発症について紹介しますが、起こるのは非常にまれで、過剰に怖がる必要はありません。その点はご安心ください。

血管迷走神経反射(けっかんめいそうしんけいはんしゃ)

血管迷走神経反射
 

痛みや緊張など心身に加わるストレスによって、気分不良や吐き気、意識の消失まで生じることがある全身偶発症です。

 

これは、心臓の働きを抑制する神経が強く働いてしまい、脳にまで血流が届かなかったときに症状が現れます。親知らずの抜歯に限らず、他の歯科治療中に生じることもあります。ただ、命に関わることはなく、10分程度安静にしていればほとんどの方が回復します。

 

一般的に男性に多く、我慢してしまう傾向がありますが、治療中に少しでも気分が悪くなったり、めまいがしたり、冷や汗が出たりするようであれば、遠慮なく歯科医師やスタッフにお伝えください。

過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)

過換気症候群(過呼吸)
 

いわゆる過呼吸のことで、呼吸が浅く速くなり、ふらつきやめまい、手足のしびれなど、様々な症状が生じることがある全身偶発症です。歯科治療中に緊張や不安を感じると生じることがあります。

 

先ほどの血管迷走神経反射とは異なり、女性に生じやすい傾向にあります。もちろんこちらも命に関わることはほとんどないため、症状が出た場合は、落ち着いてゆっくりと息を吐き、呼吸を落ち着かせることが大切です。

アナフィラキシーショック

アナフィラキシーショック
 

アナフィラキシーショックはご存知の方も多いかもしれません。こちらは局所麻酔や抗生物質に対するアレルギー反応によって、引き起こされる重篤な全身偶発症です。

 

全身にじんましんやかゆみ、発疹などの皮膚症状が現れたり、呼吸が苦しくなったり、血圧が低下して意識を失うこともあります。

 

アナフィラキシーショックが親知らずの抜歯で起こることは非常にまれです。しかし、万が一、麻酔後に皮膚にかゆみを感じたり、じんましんが出たりした場合は、すぐに歯科医師やスタッフに伝えましょう。

神経損傷

神経損傷
 

もう一つ、親知らずの抜歯後に生じる偶発症として、神経の損傷があります。下あごの骨の中には下唇の感覚と舌の感覚を伝える神経が通っており、親知らずの根っこの先端と非常に近い位置にあります。抜歯する際にその2つの神経が損傷し、しびれが残るリスクがあります。

 

神経は傷ついても再生するため、症状は一時的です。ただし、皮膚などと比べて、神経の回復には時間がかかります。完全に回復するまで数ヶ月かかるケースもあります。また、治療を行っても、ごくわずかの確率で症状が残ってしまう方もいます。

親知らずの抜歯の際に気をつけることは?

偶発症のことを読んで、怖くなってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。事前にしっかりと準備しておくことで、リラックスして抜歯に臨めます。

 

抜歯を控えた皆さんは、次のことに気をつけるようにしましょう。

親知らずの抜歯前は体調管理を万全に

親知らず抜歯前の体調管理は万全に
 

抜歯は想像以上に心身に大きな負担がかかります。体調が万全でない状態ではその負担に耐えられなくなるかもしれません。また、術後の腫れや痛みを悪化させてしまう可能性もあります。抜歯の前日は十分に睡眠を取り、食事もしっかりと摂って臨みましょう。

親知らずの痛みや不安は我慢せずに伝える

親知らずの抜歯に伴う痛みや不安は我慢せずに伝える
 

抜歯中に伴う痛みを我慢しようとする方もいます。しかし、それはかえって逆効果です。痛みによって患者さんにかかるストレスが大きくなり、血管迷走神経反射や過換気症候群も生じやすくなります。痛い時は我慢するのではなく、すぐ歯科医師またはスタッフに伝えるのが大切です。

 

また、抜歯が不安で仕方がないという気持ちがある場合も、歯科医院で相談しましょう。クリニックによっては、笑気ガスを使った鎮静や、静脈内鎮静法(セデーション)といった施設が整っている場合もあります。

親知らずの抜歯後は抗生剤と痛み止めを服用

親知らずの抜歯後は、抗生剤と痛み止めを服用
 

抜歯後は、細菌感染を予防する抗生剤と、痛みをやわらげる鎮痛薬が処方されるのが一般的です。抗生剤は歯科医師に指示された通りに必ず飲み切り、鎮痛剤は痛みが生じた際には我慢せず服用しましょう。

 

鎮痛剤は痛みがなければ飲む必要はありません。しかし親知らずの抜歯は、傷口が比較的大きいため、少しでも痛みがある場合は我慢せず飲むことをおすすめします。

 

抜歯後の痛みや腫れには個人差があり、2週間ほど続く場合もあります。痛みが引かない場合や、痛みが強くなる場合は、早めに歯科医院で診てもらいましょう。

もしもの時はすぐに歯科医院に連絡を

親知らずの抜歯後、もしもの時はすぐに歯科医院に連絡を
 

もし、抜歯後に出血が止まらなかったり、3時間ほど経っても唇や舌がしびれているような感覚があれば、すぐに歯科医院に連絡をしましょう。

 

緊急性を有する場合もありますので、気になることはすぐに連絡するようにしてください。また、発熱や強い痛み、腫れがひどい場合も放置せずに連絡しましょう。

ポラリス歯科では、大学病院口腔外科出身の歯科医師が親知らずの抜歯も担当

親知らずの抜歯と聞くと、怖いと感じる方もいらっしゃるでしょう。確かに偶発症が起こるリスクはゼロではありませんが、基本的に偶発症は起こらない確率の方が圧倒的に高いのです。

 

今回お伝えしたように、親知らずの抜歯に際しては、不安や疑問を解消し、抜歯前の準備をしっかり行うことで、リラックスした状態で治療に臨めます。

 
ポラリス歯科・矯正歯科では、大学病院の口腔外科に長年勤務した、豊富な経験と知識を持つ歯科医師が親知らずの抜歯を担当します。
 

ポラリス歯科・矯正歯科では、大学病院の口腔外科に長年勤務した、豊富な経験と知識を持つ歯科医師が親知らずの抜歯も担当します。また、3次元CTなどの最新の機器を用いて、患者さんの親知らずの状態を的確に把握したうえで、治療に入ります。

 

万が一、何か起こった場合でも迅速に対応できる体制を整えているので、親知らずが痛む方や、他院に相談して抜歯が難しいと言われた方も、ご心配なさらずポラリス歯科・矯正歯科にご連絡ください。