歯周病
歯並びや虫歯、歯周病って遺伝するの?
皆さんは、お口に気になる箇所はありますか?
歯並びが気になったり、虫歯のなりやすさが気になったり、歯周病が気になったり…。ポラリス歯科・矯正歯科では、日々、多くの患者さんの治療を行っていますが、患者さんそれぞれにお悩みがあるものです。
そして、お子さんが生まれると、歯並びの悪さが遺伝しないか、虫歯のなりやすさが遺伝しないかなど心配になる方も多いと思います。
お口の健康には様々な要素が影響します。日々の生活習慣ももちろん重要ですが、遺伝的な要素も無視することはできません。そこで今回は、歯やお口に影響する遺伝的要素についてお伝えします。
歯の遺伝的要因
私たちの歯は、全ての乳歯と、多くの永久歯が母親の胎内にいる時に作られ始めます。このため、歯は乳歯も永久歯も遺伝的な影響を大きく受けます。
歯の数
私たちの歯は乳歯は20本、永久歯は親知らずを除くと28本あります。しかし、歯の本数がもともと少ない方がいらっしゃいます。
これを先天性欠損(せんてんせいけっそん)といい、何らかの原因で歯の卵である歯胚が作られなかったことによります。1本でも先天性欠損を持つ人の割合は約10%とされており、それほど珍しくはありません。
また、それとは反対に、通常より歯の本数が多い過剰歯(かじょうし)がある方もいらっしゃいます。過剰歯は生えてくることもありますが、骨の中に埋まったままのことも少なくありません。
これらの歯の数の異常は遺伝的な影響を受けるため、兄弟で同じ部位の歯が足りなかったり、同じ部位に過剰歯があるケースも多く確認されます。
先天性欠損や過剰歯については、歯の発育不足・発育過剰で現れる様々な異常とはのコラムで詳しく解説していますので、併せてご参照ください。
歯の形や大きさ
歯の形や大きさも、遺伝的要素を受けやすい部分となります。結果的に親子の歯並びも似てくることもあります。
また近年は、顎の大きさに対して歯の大きさが大きい方が多く、それによって歯並びが悪くなるケースがあります。
歯の強さ
歯の強さはエナメル質の厚みや構造に左右されます。特に、エナメル質の構造が未熟なエナメル質形成不全(MIH:Molar Incisor Hypomineralization)の歯は白く濁ったような色をしており、虫歯になりやすく、欠けやすいなど、耐久性にも影響します。このエナメル質の性質は遺伝的要素の影響を受けます。
歯の色
歯は、表面の硬く白い組織であるエナメル質の下に、象牙質と呼ばれる黄色っぽい組織があります。歯の色は、エナメル質の色素量や厚み、象牙質の色などに左右されます。
上でもお伝えしたように、歯は胎内にいる時に作られることから、エナメル質や象牙質の状態も、母体の中で決まってきます。そのため、歯の色も遺伝要素が関係します。
口腔内の遺伝的要因
顎の形
生えてきた時に形が決まっている歯とは異なり、顎は成長とともに大きくなるため、顎の形は遺伝的要素で全てが決まるわけではありません。
近年は、噛む力や日々の舌の使い方などが、顎の形や大きさに強く影響を与えることがわかっています。ただ、遺伝的要素もゼロではなく、両親に骨格が似ていることも少なくありません。
舌の使い方については、滑舌が悪い?それって低位舌(ていいぜつ)が原因かものコラムや、今注目されているMFT(口腔筋機能療法)とは?のコラムでもお話ししておりますので、興味のある方は、併せてご覧になってみてください。
唾液の量や質
唾液の量や質も、遺伝的要素の影響を受ける場合があります。
虫歯のなりやすさは遺伝する?
お話ししたように、歯や唾液の質は遺伝的要素が関係します。唾液に含まれる細菌の多くは母子感染するため、両親に虫歯が多く、虫歯になりやすい唾液の質であった場合は、それも遺伝することになります。
しかし、糖分の摂取頻度や時間といった要素は、日々の生活習慣が大きなファクターを占めるので、虫歯のなりやすさは、全て遺伝するとは言い切れません。
ただし、両親が虫歯になりやすい食生活をしていると、お子さんもそれに似た食生活になってしまうため、虫歯ができやすくなるとも言えます。お子さんがいらっしゃる親御さんは注意してください。
歯周病のなりやすさは遺伝するか?
歯周病は、口腔内の細菌の塊であるプラーク(歯垢)が原因で歯肉が炎症を起こし、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)を溶かす病気です。
歯周病のなりやすさには、唾液の細菌の質や、日々のプラークコントロールが影響しますが、歯周病は虫歯とは異なり、遺伝的影響を受けやすい病気であることがわかっています。
セルフケアをさほど頑張らなくても、歯周病になりにくい方がいる一方で、歯磨きをきちんと行っていても、歯周病が進行しやすい方もいるのはこのためです。
日本人の約3割の方が歯周病が進行しやすい遺伝子を持っていると言われており、放っておくと全身疾患も?歯周病について詳しく解説のコラムでもお伝えしたように、日本人の20歳以上の方の6割は歯周病にかかっています。
遺伝との関係性はさておき、やはりどんな方でも歯周病ケアに取り組む必要があると言えるでしょう。
遺伝だからと諦めないで、適切な口腔ケアを
お口の健康は全身の健康に関わります。そのため、虫歯や歯周病のなりやすさや、歯並びの悪さなどが、お子さんに遺伝するかと心配される方も多くいらっしゃいます。
また「自分は歯が弱いから、虫歯になっても仕方ない…」「遺伝的に歯周病になりやすいから…」というような声を聴くこともあります。
もちろんお気持ちは理解できますが、歯並びや虫歯のなりやすさ、歯周病のなりやすさは、遺伝的要素も関係するものの、日々の生活習慣やセルフケアも大きく影響します。
遺伝的にリスクがあっても、食生活に気をつけ、セルフケアをしっかり行い、歯科医院で定期的な検診を受けることで、虫歯や歯周病を防ぐことができます。
そして、お子さんのお口の健康のためには、ご両親が虫歯や歯周病になりにくい生活習慣を送ることが大切です。ぜひご家族皆さんで、健康なお口を目指しましょう。
ポラリス歯科・矯正歯科は、治療だけではなく、患者さん一人一人に合ったお口のトータルケアを行うことを重視しておりますので、歯や口腔環境の遺伝的要素が気になる方も、お気軽にお問い合わせください。