根管治療

根管治療の痛み

2023年6月26日

根管治療の種類と、根管治療の流れのコラムで根管治療について詳しく解説してきました。だいぶ根管治療についての理解を深めていただけたかと思いますが、やはり患者さんとしては、根管治療に際して「痛み」も気になるところではないでしょうか？

もちろんポラリス歯科・矯正歯科では、痛みに最大限配慮した丁寧な治療を提供しますので、ご安心いただきたいのですが、根管治療では「神経を抜く」処置を行うため、一般的には痛みを生じる可能性があると言えます。

そこで今回は、根管治療に関して生じる痛みの種類と原因、その対処法についてお話ししていきましょう。

根管治療中の痛み　

根管治療中、根管内部の清掃のために器具を入れていくと、痛みを生じることがあります。主な原因としては、二つ考えられます。

神経が残っている

まず一つ目は、根の中に神経が残っている場合です。その際は局所麻酔を行い、痛みを取り除いた状態で、残っている神経を取り除いていきます。もちろんポラリス歯科・矯正歯科では、麻酔を確実に行ったうえで処置を進めますので、この点もご安心ください。

また、器具が届かないような細い神経や、途中で枝分かれしている神経などは、根管内部に薬剤を入れて、薬の作用で痛みをなくしていく処置をすることもあります。

根の先端での炎症

もう一つは、根の先端での炎症が強い場合です。根の先端付近に腫れている部分があると、器具を入れることによって根の中に圧力が加わり、それが痛みとして伝わることがあります。

この場合は、内部の圧力を解放するよう促したり、投薬（飲み薬）によって炎症を抑えるといった処置を行っていきます。

根管治療直後の痛み

次に、治療を行った後で生じる痛みについて見ていきましょう。

神経を触ったことによる痛み

根の内部の神経は、根の先から顎の中の太い神経につながっており、最終的には脳までつながっていて、痛みなどの各感覚を伝える役割を担っています。

歯の神経を取り除くということは、この神経の長いつながりを根の先端で切断することになります。そのため麻酔が切れた後で、神経の切断された箇所がうずくような痛みを出す可能性があるのです。

ただし、この痛みは少なくとも1～2日でおさまってくることがほとんどです。

根の先端に膿が溜まっている

根管の中に細菌感染が認められる場合、根の先端の部分に膿が溜まっていることがよくあります。もちろん膿を取り除いていくのですが、一度に全ての膿を出しきることは難しく、残った膿が周囲を圧迫して痛みを生じることがあります。

この場合、膿が出やすくなる処置を行ったり、投薬で膿の量を抑えていくようにします。ただ、膿の量が多く、歯肉まで腫れてきている場合は、歯肉を切開して膿を出す処置が必要になることもあります。

根管充填後の痛み

根管内が無菌状態になったら、根管内に細菌が入り込まないよう、根管充填剤を詰めていきます。

この際、今後の細菌の侵入を防ぐため、隙間ができないように根管内に圧力をかけつつ薬剤を詰めるのですが、その圧力が時として痛みに感じることがあります。

この場合も、患部を安静にして数日経つと落ち着いてくることがほとんどです。

治療中・治療後も痛みがずっと続く場合

根管内部もきれいになり、最終的な根管充填剤を詰めた状態でも、痛みが続くこともあります。このような場合に考えられるのが、根の破折及び歯周周囲組織での炎症です。

再度、根管治療の以前のコラムでも使用した図でご説明しましょう。歯の根っこが折れてしまうと、そこから内部に再び細菌が入り込んでしまうため、いくら根管治療を行っても根管内部を無菌状態にすることはできません。歯は破折（折れたり欠けたり、ヒビが入ること）を起こしてしまうと、保存することが難しいので、抜歯となることがほとんどです。

また、炎症が根管内部だけでなく、歯の周囲や歯槽骨内部に及んでいる場合も、根管治療だけでは痛みを取り除くことができなくなります。

歯の周囲や、歯槽骨内部の炎症の場合は投薬などで対処しますが、強い炎症が広範囲に及ぶ場合には、口腔外科の受診が必要になることもあります。