審美歯科
進化版ポーセレンラミネートべニア、「ルミネアーズ」について

「前歯の形が気になる」「歯の色が気になる」…そんなお悩みをお持ちの方には、いくつかの治療方法が考えられます。
歯の色を白くするならホワイトニングが一般的ですよね。たしかにホワイトニングである程度歯は白くすることができます。しかし歯の形を変えることはできませんし、歯の着色の原因によっては、希望する白さにすることが難しい場合もあります。
歯の色だけでなく、形も整えたいという場合には被せ物(いわゆる差し歯)による治療も選択肢の一つです。しかし健康な歯を大幅に削る必要があるというデメリットも考慮しなければなりません。

この被せ物治療のデメリットを軽減する方法として、以前コラムでご紹介した、ポーセレン・ラミネートベニアという治療法があります。これは、歯の表面に薄いセラミック製のシェル(付け爪のようなもの)を貼り付けることで、歯の色や形を整える治療法です。
そして、このラミネートベニアをさらに進化させたものが「ルミネアーズ」です。今回は、このルミネアーズという治療法について、特徴やメリット・デメリットを解説していきます。
ポーセレン・ラミネートべニアとは

まずは復習もかねて、ポーセレン・ラミネートベニアについて、軽くお話ししておきましょう。詳しくは、ポーセレン・ラミネートベニアについてや、ポーセレン・ラミネートベニアとセラミッククラウン、どっちが良い?のコラムをご参照ください。
ポーセレン・ラミネートベニアは、歯の見た目を美しく改善するための治療法の一つです。歯の表面を0.3mm~0.5mm程度、ごく薄く削り、その上にセラミック製の薄いシェルを特殊な接着剤で貼り付けます。
ポーセレン・ラミネートベニア治療は、歯の色を白くするだけでなく、歯の形を整えたり、すきっ歯(歯と歯の間の隙間)を改善したりすることも可能です。軽度の歯並びの乱れであれば、この治療法で対応できる場合もあります。
続いてポーセレン・ラミネートべニアのメリットとデメリットも列挙しておきます。
ポーセレン・ラミネートべニアのメリット

- 被せ物と比べると歯の表面のみを削るため、歯を削る量が少ない
- 変色しにくい素材を使用するため、白さをキープしやすい
- 通院頻度は即日~2回程度と短期間で終わる
- 基本的に麻酔は不要で痛みが少ない
ラミネートベニアは、被せ物と比較して歯を削る量を少なく抑えられ、処置に伴う痛みもほとんどありません。また、変色しにくいセラミック素材を使用するため、白く美しい状態を長く保ちやすいことも特徴です。通院回数も通常2~3回程度と、比較的短期間で治療が完了します。
ポーセレン・ラミネートべニアのデメリット

- ラミネートべニアは保険適応外のため、費用が高額になる
- 衝撃に弱く欠けたり割れたりするリスクがある
- わずかとはいえ、健康な歯を削る必要がある
ラミネートベニアは、保険適用外の治療で費用が高額になりやすいこと、強い衝撃で欠けたり割れたりする可能性があることがデメリットとして挙げられます。また、量は少ないものの、健康な歯を削る必要があることも、デメリットと感じる方がいるかもしれません。
ルミネアーズとは
では、今回の本題であるルミネアーズについて解説していきましょう。
ルミネアーズは、アメリカのデンマット社が開発したポーセレン・ラミネートべニアの一種です。「ポーセレン・ラミネートベニアの進化形」とも呼ばれており、歯の表面に約0.1mmという極薄のセラミックシェルを貼り付けることで歯の色や形、軽度の歯並びの乱れなどを改善します。
従来のポーセレン・ラミネートベニア治療では、上でも触れたように、シェルを装着するために歯の表面をわずかに削る必要がありました。しかしルミネアーズは、その薄さゆえに、多くの場合、歯を全く削らずに、削る場合でもごくわずかな量で済む可能性があります。
ルミネアーズは、1986年から臨床試験を開始しており、アメリカでは年間3万人もの受診者がいるとされ、実績もある治療法の一つです。
ルミネアーズ治療の流れ
ルミネアーズは、一般的に3つのステップで進められます。
ステップ1:精密検査

ルミネアーズは主に歯の審美性を改善する治療ですが、お口の健康を損なうことはできません。そのため、治療を開始する前にお口の状態を確認します。虫歯や歯周病など、治療が必要な問題が見つかった場合は、先にこれらの処置を行います。
ステップ2:歯型取り

ルミネアーズを作製するための歯型を取ります。これをもとに、オーダーメイドのルミネアーズが作製されます。
ステップ3:装着

完成したルミネアーズを試適(実際に口に入れて見た目や噛み合わせをチェックすること)し、色や形、適合状態などを確認します。問題がなければ接着剤を用いて、ルミネアーズを歯にしっかりと装着します。
実際の治療の流れは、デンマット社のYoutubeで、動画でも見ることができますので、興味のある方は併せてご参照ください。
ルミネアーズのメリット
ルミネアーズは、ポーセレン・ラミネートべニアの持つメリットに加え、以下のような優れた特長があります。
歯をほとんど削らない

前述のとおり、ポーセレン・ラミネートべニアを用いた治療では、セラミックシェルを装着するために、歯の表面を薄く削る必要がありました。
しかし、一度削ってしまった歯は元に戻すことができません。また、歯を削ることによって、歯の寿命が短くなる可能性も指摘されています。
その点、ルミネアーズは歯をほとんど削らずに治療ができます。
耐久性がある

ルミネアーズは進化系ポーセレンと呼ばれる素材でできています。この素材は、極薄でありながら、通常のポーセレン・セラミックよりも強度と耐久性に優れていると言われています。
ポーセレンラミネート・べニアの耐久年数はおおよそ10~20年といわれますが、ルミネアーズは25年にもわたり、変色や破損なく、状態を保つことができたという報告もあります。
違和感がない

ラミネートべニアは付け爪のように歯の表面に張り付けるため、人によっては装着時に違和感を覚えることがありました。
一方、ルミネアーズは約0.1mmと非常に薄いため、装着時の違和感をほとんど感じません。
ルミネアーズのデメリット
ルミネアーズは多くのメリットを持つ一方で、検討すべき点もいくつかあります。
自由診療になる
ルミネアーズも自費治療のため、やはり費用は保険診療より高額になります。治療する箇所や、クリニックにより異なりますが、1本につき10万円程度からそれ以上の費用がかかります。
施術できる歯科医院が限られる

ルミネアーズの施術は、デンマット社から認定を受けた歯科医師のみが行うことができます。そのため、ルミネアーズ治療を受けられる歯科医院が限られてしまう点は不便に感じられるかもしれません。
割れたり欠けたりするリスクがある

メリットの項目で、ルミネアーズは耐久性があると説明しましたが、これは、あくまでもセラミック素材同士を比較した場合です。
天然の歯と比べると、やはり強い衝撃を受けた際に割れたり欠けたりするリスクは高くなります。硬いものを噛む習慣がある方や歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、特に注意が必要です。
ルミネアーズが向いている人は?
ルミネアーズは、以下のようなご希望をお持ちの方に、特におすすめできる治療法です。
- 歯の色や形は気になるけれど、健康な歯をできるだけ削りたくない
- 忙しいので、できるだけ短期間で治療を終えたい
- 美しい仕上がりを長く維持したい
- 金属アレルギーがあるので、メタルフリーの治療法を選びたい
- 歯並びも少し気になるけれど、矯正治療をするほどではない
上記のような方は、ルミネアーズが適している可能性があります。
もちろん、ルミネアーズがすべての方に適しているわけではありません。歯並びや噛み合わせの状態によっては、他の治療法が良い場合もあります。
患者さん一人一人が白く美しい歯を手に入れるために

お伝えしてきたように、ルミネアーズは、これまで行われてきたラミネートべニアの欠点を補い、見た目を改善できる歯に優しい治療法です。耐久性に優れた素材を使用し、多くの場合、短期間で治療が完了することも魅力でしょう。
ただ、ルミネアーズはすべての方に適応できるわけではありません。歯列不正がひどい場合などは、やはり矯正治療が必要になります。また、アメリカ発祥の治療法のため、まだ日本国内では施術できる歯科医院も限られているのが現状です。
歯並びの状態やお悩みの内容によっては、ルミネアーズ以外の治療法が適している場合がもちろんありますので、やはり大切なのは、歯並びの状態やお悩みの内容によって、適切な治療法を選択することになります。
ポラリス歯科・矯正歯科では、医療法人社団 千仁会の専門医が、患者さん一人一人にぴったりの治療法をご提案いたします。白く美しい歯並びにしたいとお考えの方や、ご自身に合う治療法をお探しの方は、ぜひ一度、札幌駅すぐのポラリス歯科・矯正歯科にご相談ください。