歯の治療全般
歯医者さん特有のあの匂い(におい)…何が原因?
皆さんは歯医者さんの匂い(におい)が気になることがありますか?
歯科医院には薬のような、漢方のような、独特の匂いがありますよね。クリニックに入るとすぐに感じるあの匂い、好き嫌いの分かれる匂いだと思います。
嗅覚はヒトの記憶や感情と強く結びついています。このため、歯科医院に苦手意識のある方にとっては、あの匂いを嗅ぐと、嫌な記憶を思い出してしまうという方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、そんな歯科医院特有の匂いについてお話しします。
歯科医院の匂い(におい)の原因は?
歯科医院の独特な匂いは、主に治療に使う薬剤が原因です。
ユージノール
歯科医院の匂いの大きな原因と言われているのが、被せ物をつける時に使うセメントや、治療中の仮蓋に含まれるユージノールという材料です。
歯科業界ではユージノールと呼ばれますが、一般的にはオイゲノールと呼ばれています。これはスパイスであるクローブ(丁子:ちょうじ)の精油の香りが、匂いの成分です。
クローブというとカレーに使われるスパイスですので、聞いたことがある方や料理で使ったことがある方もいらっしゃると思います。
ユージノールには消炎・殺菌作用や鎮痛作用があります。このため、詰め物や被せ物を付けるセメントに使われる他、虫歯に詰めて痛みを和らげるといった使い方をすることもあります。また、歯型を取る時に使う材料にもユージノールが含まれています。
ホルムクレゾール
ホルムクレゾールは、歯科医院で使う材料でも、強く独特な匂いのある材料です。根管治療の際に使われますが、近年は使用する歯科医院は減ってきています。
根管治療については下記のコラムで詳しく解説しております。
レントゲンの現像液
レントゲンの現像液も独特の匂いがします。昔は撮ったレントゲンのフィルムを、歯科医院でその場で現像していました。しかし、近年ではデジタルのレントゲンを使う医院が多くなり、現像液を使っている医院は多くはありません。
消毒材
歯科医院では、治療ごとに椅子や器具を消毒するために、アルコールや塩素系の消毒剤を使います。これらの匂いも病院独特の匂いを感じさせます。
匂いが気になる方へ
匂いが苦手な方には配慮してくれる歯科医院も
歯科医院によっては、高性能な空気清浄機を導入していたり、アロマオイルを使って患者さんにリラックスしていただけるようにしているクリニックもあります。このようなクリニックだと、匂いが気になりにくくなります。
また、事前に苦手なことをお伝えいただけると、治療の際に、なるべくその材料以外のものを使用するなどの配慮もできますので、無理をせず、歯科医院でご相談ください。
歯科医院の匂いは実は身近な香り
冒頭でも触れたように、歯科医院の独特な匂いが苦手という方はいらっしゃいますよね。しかし、お伝えしたとおり、匂いの原因となるユージノールは、実はクローブや丁子と呼ばれるスパイスの香りです。
クローブは、カレーのガラムマサラや煮込み料理、スイーツなどにも使われています。スパイスカレーのお店に入ると、独特の匂いがしますよね。
心持ちの問題になってしまいますが、歯科医院の匂いも、そんな身近な香りと同じだと考えてみると、少し緊張が和らぐかもしれません。
治療ではなく、健診で歯科医院に通う習慣を
歯科医院に苦手意識のある方は、匂いによって治療時の痛みや怖い記憶が蘇ってしまうかもしれません。そのため、どうしても歯科医院から足が遠のいてしまいます。
しかし、虫歯や歯周病がひどくなってから治療する場合、痛みが伴ってしまったり、治療に時間がかかってしまいます。すると、ますます歯科医院に苦手意識が出てしまう…という悪循環になりかねません。
虫歯や歯周病は、ごく初期であれば、大きな治療になることはなく、治療時間もかかりません。早期に対処すれば、患者さんの負担も大幅に軽減できます。
そのためには、メンテナンスや予防歯科で、日頃からお口の健康状態を定期的に診てもらうのが一番です。その際にPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)によって、歯科医院の専用機材でお口をクリーニングしてもらうと、ツルツルの歯になって、とても気持ちがいいものです。
苦手意識のある方は、少しずつでも構いません。歯科医院へ通う習慣を徐々につけていただけたら、お口の健康が守られるだけでなく、独特の匂いにも慣れてくるかもしれません。
もちろんポラリス歯科・矯正歯科では、患者さんの声を真摯に伺っておりますので、今回お伝えした歯科医院特有の匂いが気になるという方も、お気軽にご相談いただければと思います。