歯の治療全般
そのケガ、口腔外科に行った方がいい?

口腔外科ってどんなところ?のコラムでは、口腔外科がどのような場所で、どのような治療を行っているのかをご紹介しました。もしかすると、「親知らずの抜歯くらいしか思いつかなかった」という方もいらっしゃるかもしれません。
ところで、皆さんはケガをしたことがありますよね。生きていく上でケガは避けて通れません。足や腕など、誰しも体の様々な場所を怪我した経験があるはずです。中には、顔やお口の周りを怪我したことがあるという方もいらっしゃるでしょう。

口腔外科は、海外でoral and maxillofacial surgeryと呼ばれています。これを直訳すると口腔顎顔面外科。つまり、お口の中だけでなく、顔面周囲の外科処置を行うことを専門としています。もし、お口の中や顔の周囲を怪我した時は、口腔外科を受診することを検討してください。
今回は、そんな顔やお口の中の傷について、どんな時に口腔外科を受診すべきかにフォーカスしてお話ししていきたいと思います。自分自身だけでなく、お子さんがケガをされた際の参考にもしていただけると幸いです。
大きな病院の口腔外科が治療している外傷
市中病院や大学病院といった大きな病院には、歯科口腔外科が併設されていることが多く、特に救急病院には歯科口腔外科が併設されています。これらの病院の歯科口腔外科では、必要に応じて救急患者の対応も行っています。
具体的にどのような外傷を対象とし、どのような治療を行っているのか見ていきましょう。
骨折

外傷で比較的多く見られるのが骨折です。骨折と聞くと腕や脚をイメージする方が多いかもしれませんが、顔周りの骨折も起こります。頻度は多くはありませんが、交通事故や転倒、暴行などによって顔面周囲も骨折することがあります。
病院口腔外科が扱う骨折は、多くの場合、下顎骨骨折(かがくこつこっせつ)と上顎骨骨折(じょうがくこつこっせつ)、頬骨骨折(きょうこつこっせつ:ほほ骨の骨折)です。つまり、主に上顎と下顎の骨折に対する治療を行っています。

骨折が疑われる場合、まずは、レントゲンやCTで状態を確認します。検査の結果、骨折している場合は、全身麻酔下で手術を行うのが一般的です。
手術では、骨折部位を金属プレートなどで整復・固定します。骨折によって噛み合わせがずれている場合がほとんどなので、顎間固定(がっかんこてい)といって一定期間、上顎と下顎を動かないようにし、安静を保つようにします。
顎関節脱臼

顎関節脱臼とは、顎の関節が外れてしまう状態のことです。顎関節は耳の内側に位置する関節で、下顎を動かす役割があります。
他の関節と同じように靭帯や筋肉によって支えられ、外れないようになっていますが、強い力が加わったり、関節周囲の組織が弱っていたりすると、外れやすくなってしまうことがあります。高齢者の方のお口が閉まらなくなったという時は、ほとんどが顎関節脱臼です。
顎関節脱臼の場合、基本的には入院は必要ありません。歯科医師が徒手整復(としゅせいふく)と呼ばれる方法で、外れた関節を元の位置に戻します。
外れた顎関節を整復することは比較的容易ですが、一度脱臼すると再発しやすくなることがあるため、整復後は顔用のバンテージを巻いて顎関節を安定させたり、顎関節周囲の筋肉を鍛えるリハビリテーションを行ったりすることがあります。
裂傷(れっしょう)

裂傷とは、転倒や事故などによって皮膚や粘膜が裂けてしまった状態のことです。簡単に言うと皮膚や粘膜を突き破るような傷をいいます。
顔や口は露出している部分であるため、裂傷は比較的起こりやすい外傷の一つです。裂傷の場合、以下のようなリスクがあるため、早急な治療が必要となります。
- 感染症
- 出血
- 瘢痕(はんこん:傷跡のこと)
- 神経損傷
- 異物混入
大きな病院の口腔外科では、顔面や口腔内の裂傷を治療対象としています。頻度としてはあまり多くありませんが、しっかりと治療を行わなければならないケガであることは変わりありません。
裂傷の場合は、皮膚を貫通している場合もあり、感染に気を付けなければなりません。特に、砂や土などの異物が傷口に入り込んでいる場合、感染の原因となるため、それらをしっかりと除去する必要があります。
治療にあたっては、まず傷口とその周辺を清潔に消毒し、異物を完全に除去します。その後、必要に応じて傷口を縫合します。縫合糸の種類にもよりますが、約1週間後に抜糸を行うのが一般的です。
口腔外科では、様々な怪我に対して治療を行いますが、適切に治療を行えば、治すことができます。しっかりと治療を受けるようにしましょう。
もしもの時はどうする?

万が一、これまでお話したようなケガをしてしまった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか?口腔外科ってどんなところ?のコラムでお伝えしたとおり、病院の口腔外科は、一般の歯科医院とは異なり、受診に際して紹介状が必要となるケースが多いため、以下のステップで対応しましょう。
- まずは歯科医院を受診する
- 紹介状の作成を依頼する
- 紹介状を持って口腔外科のある病院へ
- 検査と診断
- 処置
これも口腔外科ってどんなところ?のコラムでお話ししたように、紹介状がない場合、病院によっては別途料金が発生することがあります。必ず紹介状を持参するようにしてください。また、緊急を要する場合は、救急外来を受診することも検討してください。
お口のケガは、まずはかかりつけ医へ相談を

今回は、病院口腔外科に行くべきお口の周囲のケガについて解説しました。ご自身でどのように対応すべきか判断に迷う場合も多いかと思いますので、ケガをしたらまずはかかりつけの歯医者さんを受診し、判断してもらいましょう。
病院口腔外科での治療が必要と判断された場合、紹介してもらえるはずです。そして、万が一の事態に一人で悩まずに済むよう、普段から相談できるかかりつけの歯科医を持つことをおすすめします。
札幌駅すぐそばのポラリス歯科・矯正歯科は、一般的な歯科治療から、お口の様々なお悩みにワンストップで対応できる歯科医院です。医療法人社団 千仁会の歯科医師や歯科衛生士が多数在籍し、チーム医療による質の高い歯科医療を提供しています。
より専門的な治療が必要な場合には、大学病院をはじめとする高度医療機関との連携も密に行っておりますので、ご安心ください。お口のことでお困りの際は、ぜひ一度ポラリス歯科・矯正歯科にご相談ください。