食事や会話の質を左右する!?~大切な歯茎の役割

食事や会話の質を左右する!?~大切な歯茎の役割
 

皆さんは、歯茎にどのような役割があるかご存じですか?歯科というと、歯そのものにフォーカスされがちですが、食べ物を噛む、会話するといった日常の行為には、健康な歯だけでなく、健康な歯茎も欠かせません。

 

もし、歯茎がなかったら、食事も会話もスムーズにできなくなってしまいます。歯茎は私たちが思っている以上に、お口の中で大切な役割を担っているのです。今回は、歯茎の役割と健康な歯茎を保つ方法についてお話ししていきます。

咀嚼時における歯茎の役割

咀嚼(そしゃく)とは、食べ物を噛み砕き、飲み込みやすい形にすることです。実は、歯茎は咀嚼する際に、以下のような役割を果たしています。

歯を支える

歯茎の役割:歯を支える、衝撃を吸収する
 

歯茎の下には歯槽骨(しそうこつ)と呼ばれる骨があり、歯はこの骨から生えています。歯槽骨は歯を支える土台のようなもので、歯茎はその土台を覆い、保護しているのです。

 

歯茎が健康であれば、歯はしっかりと固定されるので、硬い食べ物でも噛み砕けます。しかし、歯周病などで歯茎や歯槽骨が弱ってしまうと、歯がグラグラして噛むのが困難になってきます。さらに悪化すると歯を失ってしまうリスクもあります。

衝撃を吸収する

もう一度上の図をご覧ください。歯と歯槽骨の間には歯根膜(しこんまく)と呼ばれる繊維組織があり、クッションのような役割を果たしています。食べ物を噛み砕く時にその力が歯茎に伝わりますが、歯根膜が力を吸収・分散し、歯や歯槽骨への負担を減らしています。歯茎は、この歯根膜を保護する役割も果たしているのです。

感覚を感じ取る

歯茎の役割:感覚を感じ取る
 

歯茎には多くの神経が通っていて、様々な感覚を感じ取ります。

  • 痛覚:傷などによる痛みを感じる
  • 触覚:食べ物や歯ブラシなどの接触を感じる
  • 温度感覚:熱いものや冷たいものを感じる
  • 圧覚:咀嚼時の圧力を感じる

これらの情報が脳に伝わると、すぐに処理されて、噛む力や食べ物を飲み込むタイミングを自動的に調整してくれます。

 

例えば、硬い食べ物を噛んだ時は、歯茎がその硬さを感知して、歯や歯茎に過度な力がかからないようになっています。もし、これらの神経が麻痺してしまったら、食事中にうっかり舌や頬を噛んでしまったり、知らずに熱いものを飲み込んで火傷をしてしまうかもしれません。

口の中をきれいに保つ

歯茎の役割:口の中をきれいに保つ
 

歯茎は、歯と歯の間の隙間を埋めるように盛り上がっているので、食べ物が歯に挟まるのを防いでくれます。また、歯茎がしっかりと歯を支えることで、虫歯の原因となる歯垢がたまりにくくなり、虫歯予防にもつながります。

発音時における歯茎の役割

歯茎は、噛む時だけでなく、話す時にも重要な役割を果たしています。そのため、歯茎の形が変わると、発音しにくくなったり、発音できなくなることも出てきます。ここでは、発音時に歯茎がどのような役割を果たしているのか、詳しく見ていきましょう。

音を作る

発音時における歯茎の役割:音を作る
 

日本語は、母音と子音、または母音のみで作られていますが、歯茎が大切になってくるのは子音の方です。

 

母音は「あ」「い」「う」「え」「お」のように息が自然に流れる状態で生まれる音です。一方、子音は息の流れを邪魔することで生まれる音で、「か」「さ」「た」「な」「は」「ま」「や」「ら」「わ」行が該当します。

 

子音を生み出す際は、歯茎と舌を使います。例えば「た」は舌先を前歯の歯茎に触れて発音していますよね。歯茎の形が変わると、こういった子音の発音がしにくくなったり、発音できなくなることがあります。

音を鮮明にする

発音時における歯茎の役割:音を鮮明にする
 

歯茎は、口の中で空気の流れを作ったり、空間を保つことで音がはっきり聞こえるようにするという役割があります。たとえるなら管楽器のような存在です。もし楽器の形が歪んでしまったら、美しい音色を奏でるのは難しいですよね?

 

同じように歯茎の状態が悪くなってしまうと、口の中の空間を保てないため、鮮明でクリアな音が発声できなくなってしまうことがあります。

言葉のリズムを作る

滑舌が悪い?それって低位舌(ていいぜつ)が原因かも
 

私たちが言葉を話す時、舌は口の中で動きます。舌が歯茎に触れると、言葉の流れを無意識に感じ取って舌の位置や動きを把握し、次の音を正確に発音します。

 

しかし、歯周病などで歯茎の状態が悪くなると、痛みや違和感によって発音する時にどもったり、止まったりすることも出てきます。歯茎の健康は、音を鮮明にするだけでなく、言葉の滑らかさやリズムにも関わってくるのです。

 

発音や滑舌については、滑舌が悪い?それって低位舌(ていいぜつ)が原因かものコラムでも詳しく解説していますので、併せてご参考になさってください。

健康な歯茎を守る3つの方法

これまで見てきたように、健康な歯茎は食事や会話に欠かせません。歯茎の健康を守ることは、全身の健康にもつながります。ここでは、歯茎を守るための方法を3つ紹介します。

毎日の歯磨きを丁寧に行う

健康な歯茎を守る方法:毎日の歯磨きを丁寧に行う
 

歯と同様、歯茎の健康を守るうえで最も大切なのは、毎日の歯磨きです。食後に歯を磨かないと、食べかすが歯の間に挟まったままになり、プラーク(歯垢)がべったりとついてしまいます。プラークは細菌の塊で、食べ物の残りかすをエサにして増えていきます。

 

歯磨きをおろそかにしてしまうと、細菌が出す毒素によって、やがて歯周病になってしまいます。詳しくは歯肉炎と歯周炎って何が違うの?のコラムで解説していますが、歯周病になると、歯茎の腫れ(歯肉炎)から始まり、悪化すると歯槽骨が溶けてしまい、歯が抜け落ちてしまうこともあります。

 

毎食後の歯磨きを習慣にし、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスも使って、歯と歯茎の間に挟まった食べかすをしっかり取り除きましょう。最近は高性能なデンタルグッズも多くありますから、ご自身に合うものを見つけて、利用するのもおすすめです。

定期的な歯科検診でプロフェッショナルケアを受ける

健康な歯茎を守る方法:定期的な歯科検診でプロフェッショナルケアを受ける
 

毎日の歯磨きというセルフケアに加えて、定期的に歯科医院でクリーニングを受けるようにしましょう。かかりつけの歯科医院を見つけて、お口の状態をチェックしてもらうと安心です。

 

定期的に予防歯科を受診すれば、PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)により、セルフケアでは取り除けない歯石や歯垢を、歯科の専用機器できれいにしてもらえます。また、歯や歯茎に問題があった場合も、早期発見・早期治療が可能です。

 

さらに、歯磨き指導(TBI)もしてもらえるので、正しいブラッシング方法に加え、自分に合った歯ブラシや歯磨き粉を教えてもらえます。歯科医院と二人三脚で、毎日のセルフケアをより効果の高いものにしていきましょう。

バランスの良い食事を心掛ける

健康な歯茎を守る方法:バランスの良い食事を心掛ける
 

私たちの体は、毎日食べるもので作られています。健康な歯茎を保つためには、栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。

 

中でも、歯茎を丈夫にするコラーゲンを作るタンパク質と、それをサポートするビタミンCは積極的に摂りたい栄養素です。さらに、歯や骨を強くするカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDも一緒に摂ることもおすすめします。

 

野菜・肉・魚・乳製品など、様々な食材をバランス良く摂取し、必要な栄養素をしっかりと補いましょう。もし、食事だけでは摂りきれないと感じたら、サプリメントを活用するのも良いですね。

歯茎のお悩みはポラリス歯科・矯正歯科にご相談ください

歯茎のお悩みはポラリス歯科・矯正歯科にご相談ください
 

健康な歯茎があれば、美味しいものを味わうことができますし、会話も弾みます。しかし、歯茎の健康が損なわれると、日常生活の質(QOL:Quality of Life)が低下するだけでなく、全身の健康まで影響が出てしまうこともあります。

 

歯茎の健康のためにも、毎日の歯磨きや定期的な歯科検診、バランスの取れた食生活など、できることから始めていきましょう。

 

ポラリス歯科・矯正歯科には、医療法人社団 千仁会の専門医が在籍し、歯の治療だけにとどまらず、総合的な口腔ケアをご提供いたします。歯茎に関することはもちろん、お口の健康に関する様々なお悩みについても、ポラリス歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。