歯が小さい「矮小歯(わいしょうし)」ってなに?~放置するリスク・治療法を解説

歯が小さい「矮小歯(わいしょうし)」ってなに?~放置するリスク・治療法を解説

矮小歯(わいしょうし)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?あまり聞きなれない言葉ですよね。

 

矮小歯とは、他の歯に比べて大きさが極端に小さい歯のことで、上顎の前から2番目の歯や親知らずに生じます。

 

矮小歯はそれほど珍しいものではありませんが、特に親知らずの矮小歯の場合は埋まっていることも多く、本人も気がついていないことも少なくありません。今回は、矮小歯とはどのような歯なのか、そしてどのような治療法があるのか説明します。

矮小歯とは

矮小歯とは
 

冒頭でも触れたとおり、矮小歯とは永久歯の形態異常の一つで、歯の大きさが極端に小さい歯のことを指します。多くは1〜2本の発症です。

 

矮小歯になりやすい歯は、上あごの前から2番目の歯(側切歯:そくせっし)や親知らずで、左右両方で起きることもあれば、片方だけの場合もあります。

 

前歯の場合は鏡を見てすぐに気づきますが、親知らずなど、奥歯の矮小歯はほとんどの方が気づかず、歯科医院で指摘されて分かることが多くなります。

矮小歯の種類

矮小歯になりやすい歯は、上あごの前から2番目の歯(側切歯:そくせっし)や親知らず
 

矮小歯には以下の種類があります。

  • 円錐歯(えんすいし):円錐形の形をしている歯
  • 蕾状歯(らいじょうし):つぼみのようなの形をしている歯

上顎の側切歯の矮小歯は円錐歯親知らずの矮小歯は蕾状歯の形をしていることがほとんどです。

矮小歯の原因

矮小歯の原因は完全には解明されていませんが、遺伝や、歯や骨を作るのに必要なビタミンDの不足などが影響するとも言われています
 

矮小歯の原因は完全には解明されていませんが、遺伝や、歯や骨を作るのに必要なビタミンDの不足などが影響するとも言われています。また、現代人は顎が小さくなってきているため、歯もそれに合わせて小さくなろうとする退化現象の一種との意見もあります。

 

特に矮小歯になりやすい上顎の側切歯や親知らずは、先天性欠損(せんてんせいけっそん)や先天性欠如(せんてんせいけつじょ)といって、もともと永久歯がない例も多く、退化傾向が強まっていると考えられています。

矮小歯のリスク

矮小歯は、虫歯のようにすぐに治療が必要なものではないので、そのままにしている方も多いのですが、以下のようなリスクが生じることがあります。

見た目が気になる

矮小歯のリスク:見た目が気になる
 

矮小歯が生じやすい上顎の側切歯は、笑った時に目立つ歯です。円錐歯のようにとがっていたり、歯が小さいことで、歯と歯の間に大きな隙間が空いてしまったり(空隙歯列:くうげきしれつ。すきっ歯のこと)すると、見た目にコンプレックスを感じる方もいます。

噛み合わせがずれる

矮小歯のリスク:噛み合わせがずれる
 

歯の中に極端に小さい歯があることで、上下の歯のバランスが悪くなり、噛み合わせが崩れる場合があります。

 

また、左右で1本だけ矮小歯がある場合は、噛みやすい方で噛む癖がついてしまい、これもまた噛み合わせが悪くなる原因になります。このような癖があると、顎関節に負担がかかって顎関節症になったり、左右の筋肉のバランスが崩れて頭痛や肩こりを引き起こすこともあるので、注意が必要です。

歯の寿命が短い

矮小歯のリスク:歯の寿命が短い
 

矮小歯は、通常の歯に比べ、歯根(しこん:歯の根っこ)の長さが短いことが多く、歯周病で歯を支える骨が下がってくると、他の歯よりも早く失われてしまう可能性も高くなります。

 

また、歯根が短いため、ブリッジや入れ歯の土台といった強度が求められる治療が難しいケースも多くなりますし、虫歯になった場合は、歯の表面から神経までの距離が短いため、神経まで虫歯が到達しやすく、痛みを感じやすい傾向もあります。

 

このように、機能的に問題がないからといって矮小歯を放置してしまうと、様々な問題も生じるのがお分かりいただけるかと思います。

矮小歯の治療

矮小歯の治療は、どのように治したいかによって適切な方法が異なります。ここでは、主に行われる治療を3つ紹介しましょう。

ダイレクトボンディング

矮小歯の治療の選択肢:ダイレクトボンディング
 

以前のコラムでもご紹介したダイレクトボンディングとは、虫歯治療などで使われるコンポジットレジンと呼ばれる白いプラスチック材料を使い、歯の形を整える方法です。

 

ダイレクトボンディングとは?のコラムでお伝えしたように、歯を最小限しか削らず、比較的簡単に歯の形を修正できるのがメリットです。

 

ただ、ダイレクトボンディングの素材はセラミックを含むものの、完全なセラミッククラウンと比べると、時間が経つと色が変わってきてしまったり、強度面が足りないなど、劣ってしまう点もあります。

被せ物による治療

矮小歯の治療の選択肢:被せ物、ポーセレンラミネートべニア
 

矮小歯に被せ物を被せることで、形を改善することもできます。歯全体を覆う被せ物を使う場合や、歯の表面に薄いセラミックを貼りつけるポーセレンラミネートべニアを使う場合もあります。

 

ポーセレンラミネートべニアは、ダイレクトボンディングに比べて耐久性が高く、変色のリスクも低いことがメリットです。より詳しくはポーセレン・ラミネートベニアについてのコラムで解説していますので、併せてご参照ください。

矯正治療

矮小歯の治療の選択肢:矯正治療
 

歯と歯の隙間が気になる方や、噛み合わせを良くしたいと思う方には、矯正治療も選択肢になります。

 

矯正治療には、歯にブラケットとワイヤーを装着して歯を動かすワイヤー矯正と、インビザラインなど、透明なマウスピースを装着して少しずつ歯を動かすマウスピース矯正があります。

 

ポラリス歯科・矯正歯科では、患者さんの歯並びの状態やご希望に応じて、最適な矯正治療をご提案しますので、お気軽にご相談ください。

 

また、矮小歯の治療と矯正治療の関係性については、提携医院である町田歯科のコラムに詳しい解説がありますので、興味のある方は併せてご参照ください。

矮小歯が気になる方もポラリス歯科・矯正歯科へ

お口のトータルケアはポラリス歯科・矯正歯科に
 

矮小歯がある方は比較的多く、ご自身が気づいている、気づいていないにかかわらず、特に治療せずそのままという方もいらっしゃいます。

 

しかし今回お伝えしたように、見た目や噛み合わせなど、矮小歯が問題となるケースもあり、治療法はそれぞれ異なります。もし矮小歯が気になる場合は、まずは歯科医院で相談しましょう。

 

ポラリス歯科・矯正歯科には、医療法人社団 千仁会に所属する補綴治療、矯正治療などの各分野のスペシャリストが多く在籍し、患者さん一人一人に合った治療をご提供いたします。矮小歯が気になる方も、ぜひポラリス歯科・矯正歯科にお問い合わせください。