インプラント
通常の入れ歯よりしっかり噛めるインプラント義歯
以前総入れ歯についてコラムで解説しました。全ての歯を失ってしまった時は、総入れ歯が治療の候補に挙がりますが、総入れ歯は上手な歯科医師が作っても、本物の歯と比べると、どうしても噛み心地はかなり悪くなってしまいます。また、外れやすいですし、痛みも出やすいというデメリットもあります。
とはいえ、歯がなくなってしまった以上、総入れ歯しか選択肢がなくて困っている方も多いことでしょう。そのような方におすすめなのが、今回ご紹介するインプラントを使ったインプラント義歯です。
インプラント義歯とは?
インプラント義歯(オーバーデンチャー)とは、インプラントを支えにした総入れ歯のことです。
インプラントを数本埋め込み、その上に総入れ歯をセットしますので、インプラントと総入れ歯を組み合わせた治療法といえます。オールオン4という呼び方をされることもあります。
オールオン4については、同じく医療法人社団 千仁会所属のインプラントオフィス大通のサイトで解説しておりますので、併せてご参照ください。
インプラント義歯の構造
ではインプラント義歯の構造について解説しましょう。
インプラントの数
もともと、歯の数は親知らずを除き全部で28本ですが、インプラント義歯は28本のインプラントを入れるわけではありません。
一般的に、埋入するインプラントの本数は2~6本くらいにとどまります。インプラントがそれぞれ独立していることもあれば、インプラントの頂上をバーという金属の棒でつなげていることもあります。
義歯の形状や構造
インプラント義歯の歯の部分の構造は、普通の入れ歯と同じです。支えのインプラントに磁石が付いているものでは、入れ歯の裏側に磁石を埋め込んでいることもあります。
インプラント義歯のメリット
続いて、インプラント義歯のメリットをお伝えしましょう。
しっかり噛める
普通の総入れ歯と比べると、入れ歯の下からインプラントが支えるので、歯肉に沈み込まない分、しっかりと噛むことができます。
安定性が高い
総入れ歯の欠点の一つは、冒頭でも触れたように、外れやすいという点です。
インプラント義歯の場合、入れ歯の下にあるインプラントが入れ歯の支えになりますから、入れ歯の安定性がとても高く、外れにくくなります。入れ歯安定剤を使わなくても外れません。
インプラントとしては低コスト
総入れ歯になるということは、28本あった歯がなくなってしまったということです。
全ての歯をインプラントで治療すれば相当な金額になりますが、それに比べるとインプラントの本数が少ない分、インプラント義歯は低コストで治療を受けられます。
侵襲(しんしゅう)が少ない
侵襲とは、外科手術によって受ける身体的なダメージのことをいいます。インプラント治療は外科治療なので、ある程度の侵襲が生じるのは避けられません。
この侵襲の度合いは、インプラントの本数に比例します。インプラント義歯は、少ない本数のインプラントで入れ歯を支える構造になっていますから、治療に伴う侵襲も少なく抑えられます。
お手入れしやすい
インプラント義歯は、お手入れの時に外すことができます。そのため、ご自身だけでなく、介助する方もお手入れしやすく、不潔になりにくい利点もあります。
インプラント義歯のデメリット
ここまでインプラント義歯のメリットについてお伝えしてきましたが、もちろんデメリットもあります。
保険診療の適応外
インプラント義歯は、原則的に保険診療を受けていません。全ての歯をインプラントで治療することと比べればインプラント義歯は低コストとはいえ、普通の入れ歯と比べると、その治療費は高額にならざるを得ません。
外科治療が欠かせない
普通の入れ歯治療は、①歯型を取る→②噛み合わせの高さをチェックする→③仮歯を合わせる→④完成という手順なので、基本的に外科的な治療はありません。
インプラント義歯は、インプラントを埋め込むという外科治療が必要になります。
えずきやすい方には使っていただきにくい
お口に異物が入ったときにえずいてしまう反応を、嘔吐反射といいます。嘔吐反射の強い方は、入れ歯を入れるだけでえずいてしまいやすく、入れ歯を使うのが難しいことが多くなります。
インプラント義歯も入れ歯の一種なので、嘔吐反射の強い方が使うのは、難しい可能性があります。
インプラント義歯をおすすめする方
インプラント義歯のメリットとデメリットについてお話ししてきましたが、では実際にどんな方にインプラント義歯がおすすめなのか、ご説明しましょう。
顎の骨が痩せている方
顎の骨は、歯がなくなると次第に痩せていきます。普通の総入れ歯は、骨を支えにしているので、骨が痩せ細ると安定性が悪くなります。
安定性が悪くなると、痛く、使いづらい入れ歯になってしまいます。残念ながら痩せ細った骨を再び大きくすることはできません。
インプラント義歯にすれば、インプラントが支えになるので、骨が痩せ細った方でも外れにくく、しっかり噛める入れ歯にすることができます。
入れ歯の大きさを少しでも小さくしたい方
普通の入れ歯は、内面の表面積を大きくして外れにくくし、噛み合わせた時の力を分散させます。このため、どうしてもサイズが大きくなってしまいます。
その点、インプラント義歯であればインプラントが支えとなり、表面積を大きく取る必要がないため、普通の入れ歯よりも、大きさを小さくすることができます。
入れ歯で噛めない方
普通の総入れ歯は、歯肉の上に乗っています。歯肉は柔らかいので、食べ物を噛むと、噛んだ時の力を受けて凹み、総入れ歯全体が沈み込んでしまいます。このため、しっかり噛めません。
インプラント義歯の場合は、固定されたインプラントが入れ歯を支えるので、しっかりと噛めるようになります。
入れ歯を検討する際は、インプラント義歯も有力な選択肢に
今回は、インプラント義歯についてご紹介しました。8020運動のコラムでもお話ししましたが、できればいくつになってもご自身の歯で噛めることが理想ではあります。
しかし、何らかの理由で歯を失ってしまった場合、入れ歯を検討するケースも出てくるでしょう。そんな時、今回お伝えしたインプラント義歯も有力な選択肢となることが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
インプラント義歯は、通常の総入れ歯と比べて安定性があり、しっかり噛めるという優れた特長があります。そしてポラリス歯科・矯正歯科は、医療法人社団 千仁会の専門医が多数在籍し、インプラント義歯の知見も豊富です。
今回のコラムをお読みになって、インプラント義歯に興味が湧いた方や、現在ご使用の総入れ歯に満足していない方は、ポラリス歯科・矯正歯科にぜひご相談ください。