歯科コラム
歯の麻酔後に、歯茎が荒れたり、腫れたりするのはどうして?
歯科医院では、治療に際し、患者さんの痛みを軽減するために局所麻酔を使用します。局所麻酔は安全性が極めて高く、ほとんどの方には何の影響もありませんが、麻酔後の頭痛の原因と対策のコラムでお伝えしたように、麻酔後に、頭痛や動悸など、何らかの不調を感じる方もいらっしゃいます。
このような症状以外でも、麻酔後に歯茎が荒れたり、腫れたりしたという方もいらっしゃるかもしれません。そんな経験があると、どうしても治療時の局所麻酔に躊躇してしまいますよね。
もちろんポラリス歯科・矯正歯科では、患者さんのコンディションに細心の注意を払って治療を進めるので、ご安心いただきたいのですが、今回は、麻酔後に歯茎が荒れたり腫れたりする理由について、解説したいと思います。
局所麻酔の特徴
まずは歯科で使用する麻酔について、ざっとおさらいしておきましょう。麻酔後の頭痛の原因と対策のコラムにも登場したリドカインなど、歯科で使用する局所麻酔薬は、歯やその周辺の組織の感覚を一時的に麻痺させ、その働きにより、患者さんは治療中に痛みを感じなくなります。
治療が終わっても1〜2時間は効果が続くので、しばらく感覚がなくなる感じが残りますが、麻酔が切れると感覚も元に戻ります。
局所麻酔をする時には、細い針を使うので痛みはほとんど感じません。表面麻酔を併用して使うことでさらに痛みを和らげることもできます。
このように細い針を使うため、麻酔後はどこに刺したのか分からないほどなのですが、体の状態によっては、この微細な針でも影響を及ぼしてしまうことがあるのです。
局所麻酔で歯茎が荒れる、腫れる理由とは?
ではそんな刺激の少ない局所麻酔で、歯茎が荒れたり腫れたりするのはどうしてなのでしょう?いくつか原因が考えられます。
全身状態が悪い
身体全体の状態は、お口の中にも影響を及ぼします。高血圧や糖尿病など、細胞を修復する力が弱くなっている方は、針を刺したときの小さな傷口が歯茎に残ることがあります。
また、栄養状態が著しく悪く、自然治癒力が落ちているケースも考えられます。このような場合は、麻酔の細い針による傷ですら、治すのに時間がかかってしまいます。
少し傷口が残る程度であれば、食生活の見直しやビタミンの摂取で改善することがほとんどですが、治療が終わった後も、ずっと歯茎の痛みがおさまらなかったり、異常に腫れてしまったりする場合は、上で述べたような理由があるかもしれません。日常生活における健康状態を確認することが大切です。
注射針の先が曲がった
通常では注射針は歯茎にスムーズに刺さりますが、歯茎の下にある骨に当たると、針先が曲がってしまうことがあります。局所麻酔の針が細いのはメリットですが、反面、少しの衝撃で曲がりやすいのです。
このように潰れてしまった針で別の場所の歯茎を刺すと、鋭利さがなくなっているので、歯茎を傷めてしまうことがあります。もちろん当院では、針先が曲がってしまったら、即座に別の針に交換しますので、ご安心ください。
細菌感染
お口の中には数百種類に及ぶ口内細菌がおり、日本訪問歯科協会によると、よく歯磨きする人で1000~2000億個、あまり歯を磨かない人では4000~6000億個、ほとんど磨かない人では1兆個もの細菌が存在しているといいます。
日常的な歯磨きを怠っていたり、定期的な歯科医院でのクリーニングをしていない方は、口の中に非常に多くの細菌がいる状態になっているわけですね。
このように口腔環境が悪い状態では、麻酔の細い針を刺す時に、同時に口の中にいる細菌が歯茎の中に入ってしまうことがあり、そこで細菌感染が起きて、歯ぐきが腫れる原因になります。
麻酔後に歯茎が荒れてしまったら?
麻酔をした後に歯茎が荒れてしまった場合、まずは麻酔をしたかかりつけの歯科医院へ行って相談してみましょう。上で説明した以外にも、歯ぐきが腫れる原因は様々ですので、まずは原因を特定するのが重要です。
歯ぐきが荒れた原因が細菌感染の場合は、歯科医院でPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)と呼ばれる専用機器によるクリーニングを行い、お口の中を清潔な状態に保つようにしましょう。もちろんご自宅でのセルフケアも忘れないでください。口腔環境が改善されれば、状態も良くなってくるはずです。
安全に麻酔を受けるために
冒頭でもお話ししたとおり、基本的に歯の麻酔は歯茎に影響を及ぼすことは、ほとんどないと言って良いでしょう。
歯茎が腫れたり荒れたりする場合は、歯科医師の技術の問題もありますが、患者さんそれぞれの体調や、口内環境が原因になることもあります。麻酔を使う歯科治療を行う際は、コンディションを整えて臨むようにすると良いですね。
また、お伝えしたように、口腔内には多くの細菌が存在しています。歯周病治療・クリーニングのページでも解説していますが、口内細菌を少しでも減らすために、日頃の正しい歯磨きというセルフケアと、定期的な歯科医院でのクリーニングによるプロフェッショナルケアを併用することを心掛けてください。
ポラリス歯科・矯正歯科には、医療法人社団 千仁会の技術力の高い専門医が在籍し、治療だけでなく、患者さん一人一人の体調やライフスタイルを考慮したうえで、口腔ケアのアドバイスもいたします。麻酔後に歯茎が荒れてしまう方や、腫れてしまうのが気になる方も、安心してご相談ください。