小児歯科
乳歯の病気とケア
妊娠中の歯科治療(マタニティ歯科)のコラムをいくつか掲載しましたが、今回はお子さんが生まれた後のお話をしましょう。
2~3歳になると、お子さんにも乳歯が生え揃うようになります。生まれてすぐの赤ちゃんは歯がないため、虫歯になりませんが、歯が生えてくれば、お口の中に違和感があったり、痛みがあったりと、歯のトラブルも出てくるようになります。
乳歯はいつか生え変わる…と見過ごしてはいけません
週末や平日の夜などは、小さなお子さんを連れて、ご家族でポラリス歯科・矯正歯科にご来院される方も多くいらっしゃいます。その際は、お子さんや親御さんのお話をじっくり伺いながら、治療を進めていくことになります。
「乳歯はいつかは生え代わるのだから…」と考えてはいけません。乳歯が虫歯や歯周病にかかると、お子さんの発育上、様々な悪影響も生まれてきます。今回は、そんな乳歯の疾患や対処法について、お話ししたいと思います。
乳歯とは
まず、基本的なお話から始めましょう。乳歯とは、生まれてからすぐに生えてくる子供の最初の歯を指します。乳歯は、上顎・下顎にそれぞれ10本ずつ、全部で20本が萌出(ほうしゅつ:歯が生えること)します。
乳歯は、永久歯が生えてくる12歳頃までの間、食べ物を噛んだり、正しく発音をしたり、顎の発育・成長を助けます。乳歯はお子さんの健康や成長のために、とても大切な存在なのです。
乳歯と永久歯の違いって?
乳歯は、親御さんはじめ、大人にある永久歯とは異なる点が多くあります。それも理解しておきましょう。
色 | 乳歯は白に近く、永久歯は少し黄色味がかっている。 |
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大きさ | 乳歯の方が永久歯よりも一回り小さい。 |
厚み | 乳歯の一層一層の厚みは、永久歯の半分程度の厚みです。 |
本数 | 乳歯は全部で20本ですが、永久歯は28本~32本(親知らずを含む場合)です。 |
乳歯の病気
それでは、ここからは実際に乳歯の疾患についてご説明します。
乳歯の虫歯
乳歯は永久歯と比べて、歯の一番内側にある神経を守るエナメル質や象牙質が薄いため、虫歯になりやすく、進行も早くなります。乳歯は痛みを感じにくいので、虫歯になっても気づきにくく、放置されがちです。お子さんが小さいうちは、なるべくこまめに確認してあげてください。
また、乳歯が虫歯になると様々な問題が起こります。乳歯の虫歯は、お子さんの心身の健康にも影響を及ぼすことがあるので、注意しましょう。
永久歯も虫歯になりやすくなる
お口の中に虫歯菌が増えてしまい、近くで成長している永久歯にも悪影響が出ます。虫歯菌は永久歯のエナメル質も溶かしてしまうので、永久歯も虫歯になりやすくなります。
永久歯の歯並びが悪くなる
乳歯が虫歯で抜けてしまうと、歯が生えるスペースが狭くなり、永久歯が生えにくくなることがあります。
乳歯はいわば永久歯が生えるガイドとして、隣の歯や上顎下顎の歯と正しく噛み合っていますが、乳歯が想定より早く抜けてしまうと、隣の歯がそのスペースに移動してしまったり、上顎下顎の歯が噛み合わなくなったりといったトラブルも生じます。これが永久歯の歯並びを悪くする原因になってしまいます。
お子さんのコミュニケーションへの影響
虫歯によって見た目や口臭が気になると、コミュニケーションに悪影響が出ることもあります。笑い方や話し方を変えてしまうお子さんもおり、結果的にスムーズな友人関係を築きにくくなってしまうケースもあります。
乳歯の歯肉炎
「一番奥の乳歯の後ろが腫れて痛い」と来院されるお子さんがよくいらっしゃいます。これは一番奥の乳歯である第二乳臼歯のさらに後ろから、永久歯の第一大臼歯が生えてくる際に、よく起こる歯茎の炎症です。
この部分は歯磨きがしづらく、食べたものが残りやすいため、腫れや痛みも出やすくなります。お子さんが歯の奥の痛みを訴えた際は、なるべく早く歯科医院を受診しましょう。
乳歯がグラグラする
虫歯や歯肉炎が進行してしまうと、乳歯がグラグラになることがあります。この場合もすぐに歯科医院で診てもらいましょう。
歯の病気がなければ、永久歯が生えるタイミングで乳歯がグラグラしてきますが、こちらは成長過程の自然な流れです。
乳歯のケア方法
乳歯を健康な状態に保つには、やはり正しい歯磨きと規則正しい食生活が基本になります。こちらもポイントを挙げておきます。
歯磨きの習慣づけ
毎食毎回の歯磨きの習慣を早くから身につけるのが大切です。小さなお子さんでは、虫歯や歯周病の詳細なメカニズムを理解するのは難しいものです。まずは「食べたら歯磨きをする」という良い習慣を覚えてもらうようにしましょう。
仕上げ磨きが大切
小さなお子さんでは、自分だけで磨き残しなく歯磨きするのは困難ですし、乳歯は白くて小さいので、汚れが見えにくいものです。お子さんが歯磨きをした後、親御さんがきちんと確認し、仕上げ磨きをしてあげてください。
小さなうちは動いたりしがちですが、明るい場所でしっかりと仕上げ磨きをしましょう。また、前述の歯肉炎予防のため、お口の奥まで確認してあげてください。歯がグラグラしている場合は磨きにくくなりますが、無理に力を入れることはせず、優しく磨くようにします。
歯ブラシや歯磨き粉の選び方
お子さんのお口は小さく、お伝えしてきたように、乳歯も小さなものです。歯ブラシは小さくてやわらかいものを選びましょう。また、歯磨き粉はフッ素入りのものがおすすめです。フッ素は乳歯のエナメル質を強化し、虫歯を予防する働きがあります。
食生活に注意
食事の内容に気をつけましょう。甘い物や酸性が強い飲料等は、虫歯の原因となる糖や酸を含んでいます。これらを飲んだり食べたりした後は、なるべく早く、お口の中から洗い流すようにしましょう。
また、食事やおやつの回数にも注意してください。食事やおやつの回数が多くなると、お口の中に糖や酸がある時間が長くなり、虫歯や歯周病菌も活発になるため、歯のトラブルが起こるリスクが高くなります。
小児歯科もポラリス歯科・矯正歯科へ
お子さんを歯科医院に連れていくのは大変とのお話をよく伺います。上のお子さんが歯科医院に行く際に、下のお子さんも一緒に連れて行き、慣れるようにしているというお話もありますね。
ただ、可能であれば定期的に歯科医院で検診を受けていると安心です。歯科医師や歯科衛生士は、プロの視点で乳歯の病気の早期発見や予防処置を行い、乳歯の生え方の確認もしてくれます。
お子さんを歯科医院に連れて行きたいが、なかなか上手くいかないという親御さんも、安心してポラリス歯科・矯正歯科にご相談いただければと思います。ポラリス歯科・矯正歯科は、多くの専門医が在籍する医療法人社団 千仁会ならではのチーム医療を活かし、お子さんに抵抗のない小児歯科治療を提供しています。キッズルームを完備し、保育士が常駐するクリニックもあり、イベントも行っておりますので、ご興味のある方は併せてご参照ください。
乳歯はいつか永久歯へと生え変わります。ただ、その間に起こった病気は永久歯にも影響します。ご家庭で正しい歯磨きや食生活を心がけ、なるべく早く歯科医院にも慣れてもらい、歯科医師や歯科衛生士のケアを併用するのが理想的と言えるでしょう。確実なケアが、乳歯とその後に生えてくる永久歯の健康につながります。
医療法人社団 千仁会は、ポラリス歯科・矯正歯科に加え、以下の各クリニックでも小児歯科での診療を行っております。お住まいの地域に応じてご来院いただければと思います。