歯科医院に通うたびに、「どうして1回で終わらないのだろう…」と感じたことはありませんか？

 

歯科治療は、どうしても複数回の通院が必要になることが多いですよね。しかし、それには、きちんとした理由があります。

 

今回は、歯科治療が複数回にわたる理由を解説し、さらに「1回で治療を完了させることは可能なのか？」という疑問にもお答えします。

歯科治療が何回もかかるのはなぜ？

歯科治療が複数回にわたる理由は、治療の種類やお口の中の状態に合わせたアプローチが必要になるからです。

 

決して歯科医師がわざと治療を長引かせているわけではありません。歯科治療を1回で完了させることはできないのには、以下のような理由があります。

段階的にアプローチするため

 

例えば、虫歯治療の場合、虫歯が小さければ1回の治療で済むこともあります。

 

しかし、虫歯が神経の近くまで進行している場合、大きく削ってしまうと神経にダメージを与える可能性があります。そのため、少しずつ虫歯を取り除き、慎重に治療を進める必要があるのです。

 

歯科治療は、1回の治療で完璧な結果を得ることを目的としていません。歯の健康を長期的に保ち、機能し続けることを目指します。そのため、患者さんの状況に合わせて慎重かつ丁寧な治療を段階的に行うことが重要なのです。

詰め物や被せ物を作るのに回数が必要であるため

 

虫歯が大きい場合、コンポジットレジンによる修復など、1回の治療で済むような詰め物では対応できないことがあります。そのようなケースでは、金属やセラミック製の被せ物・詰め物を作製する必要があります。

 

これらを作るには、まず虫歯を取り除き、歯の形を整えた後、歯茎の状態を改善してから型取りを行うのが一般的です。そして、型取りで作製した模型をもとに、歯科技工所で歯にぴったり合った詰め物や被せ物を作製します。

 

作製過程では、色や形がきちんと合っているかを確認するため、何度も患者さんの歯に合わせながら微調整を繰り返すことがあります。このような理由から、複数回の通院が必要となるのです。

虫歯と歯周病の両方を治療するため

 

もし、虫歯と歯周病が同時に進行している場合、まずは歯周病の治療を優先し、歯茎の炎症を抑えて状態の改善を目指します。歯茎の状態が安定した後、虫歯治療を行うことで、安定した結果を得ることが期待できるためです。

 

そのため、患者さんご自身が「早くこの虫歯を治してほしい」と思っていても、まずは歯周病の治療を優先した方が良いケースもあります。

治療後の経過観察が必要なため

 

歯科治療では、治療後に患者さんの体がどのように反応するかを見るために、経過観察が必要となる場合があります。

 

例えば、神経の治療（根管治療）を行った場合は、治療後に痛みや腫れが生じないか、違和感がないかなどを確認するために、複数回の通院が必要になることが多くなります。根幹治療については、下記コラムで詳しく解説しておりますので、併せてご参照ください。

また、被せ物や入れ歯を作製して装着した後も、問題なく使用できるか、不具合がないかなどを確認するために経過を確認する必要があります。

治療の治癒時間を取るため

 

炎症を伴った症状の治療の場合、自然に治癒する時間が必要となります。神経の治療や歯周病の治療では、炎症の原因を取り除いた後、炎症が治まるまである程度の時間がかかります。

 

このように、治癒過程を確認しながら進める必要があるため、複数回の通院が必要となります。

歯科矯正やインプラント治療

 

そもそも矯正治療やインプラント治療は、どちらも治療期間が長期にわたるものです。矯正治療の場合、歯を少しずつ動かしながら、噛み合わせや歯並びを微調整していきます。そしてその期間中は、矯正の状態を確認するため、月1回の通院が必要です。

 

インプラント治療の場合も、最終的な被せ物が入るまでに複数回の通院が必要になります。また、チタンと骨が結合するオッセオインテグレーションにより、インプラントが顎の骨にしっかりと結合するまで待つため、数ヶ月単位の時間がかかります。

歯科治療をできるだけ1回で終えるためには？

虫歯や歯周病に関しては、治療する部位がたくさんあったり、進行していなければ治療回数を少なくすることができます。

 

では、治療回数を少なくするために、日頃から何ができるのでしょうか。以下では、歯科治療をできるだけ1回で終わらせるために、普段からやっておくと良いことをご紹介します。

正しい歯磨き習慣を身につける

 

基本的なことですが、1日2〜3回、食後に歯磨きを行うことを習慣にしましょう。特に、寝る前の歯磨きは虫歯や歯周病予防に効果的です。正しい磨き方で、歯と歯茎の境目や奥歯の溝なども丁寧に磨きましょう。

 

また、歯ブラシは1ヶ月に1回を目安に交換することをおすすめします。毛先が広がっているときちんと清掃ができないためです。

 

さらに歯と歯の間は歯ブラシだけでは十分に汚れが取れないため、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、汚れを取り除くと良いでしょう。

 

ご自身にどんなデンタルグッズが合うのか気になる方は、最新のユニークなデンタルグッズのコラムでも解説していますので、併せてご参照ください。

定期的に歯科検診を受ける

 

セルフケアだけでなく、定期的に歯科医院で検診（プロフェッショナルケア）を受けることも重要です。虫歯や歯周病の早期発見ができれば、治療も簡単になり、1回で終わるケースが増えるでしょう。

 

定期検診では、歯科医師や歯科衛生士がお口の状態に合わせて、TBI（Tooth Brushing Instruction）によって正しい磨き方を丁寧に教えてくれます。ご自身に合ったケアを実践し、お口の健康を維持できれば治療回数を抑えることが期待できます。

 

また、定期的に通院していれば、被せ物が取れたり、急に歯が痛んだりした場合でも、お口の状態を把握しているため、初診の方よりも優先的に診察を受けられる可能性が高まります。

食習慣の見直し

 

「糖分の多い食べ物や飲み物は虫歯になりやすい」ということはご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

歯やお口の健康を守るための食生活のコラムでも解説しましたが、虫歯を作らない、進行させないためにも、砂糖の摂取を控え、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。また、硬いものをよく噛んで食べると、唾液の分泌が促進され、虫歯予防にもつながりますよ。

 

さらに、喫煙や過度の飲酒は、口腔内環境に悪影響を与えてしまうため、これらの習慣も控えることをおすすめします。飲酒と虫歯の関連性については、コラムでもお話ししていますので、興味のある方は、お酒と虫歯の関係をご参照ください。

フッ化物（フッ素）入り歯磨き粉を使用する

 

フッ化物は、歯質を強化し、虫歯を予防する効果があります。毎日の歯磨きにフッ化物入りの歯磨き粉を使うことで、虫歯になりにくい環境を作れます。

お口の乾燥を防ぐ

 

乾燥する季節は、お口の保湿も忘れずにのコラムでもお伝えしましたが、唾液は、お口の中を潤すだけでなく、細菌の繁殖を抑えたり、歯の表面を修復したりする働きがあり、虫歯や歯周病予防に貢献しています。

 

お口の乾燥を防ぎ、唾液の分泌を促すことで虫歯や歯周病予防につながり、結果的に通院回数を減らせる可能性があります。

 

こまめな水分補給を心がけ、口呼吸を避ける、よく噛んで食べる、よく笑うなど、日常生活の中で唾液の分泌を促し、お口の乾燥を防ぐように意識してみましょう。

 

なかなか唾液の分泌量が増えない場合は、口腔ジェル・口腔保湿剤の使い方のコラムでご紹介した、口腔ジェルや航空保湿剤を使ってみるのも有効です。

なるべく治療回数を少なくするために、日頃から歯のケアを

 

お伝えしたように、歯科治療が複数回にわたるのは、治療を正確に、かつ安全に行うためです。治療内容によっては複数回の通院が必要ですが、適切な治療を受けることで、大切な歯を長持ちさせることにつながります。

 

治療期間をできるだけ短縮するためには、やはり日頃からのケアと健康的な習慣を取り入れることが大切です。正しい歯磨き、フロスの使用、定期検診などを習慣化することで、虫歯や歯周病を予防し、万が一発症した場合でも治療が簡単になり、痛みや負担も軽減されるでしょう。

 

ポラリス歯科・矯正歯科は、丁寧なカウンセリングにより、患者さん一人一人に合った治療をご提供いたします。予防歯科を定期的に受診いただければ、より効果的に歯とお口のケアを行うことも可能です。

 

今回のコラムをお読みになって、「もしかして虫歯かな？」「歯周病かもしれない」と気になった方は、ぜひ一度、札幌駅すぐのポラリス歯科・矯正歯科にご相談ください。