予防歯科・メンテナンス
電動歯ブラシを選ぶ前に知っておくべきポイント
毎日のオーラルケアとして、電動歯ブラシを使ってみようと考えている方はいらっしゃいませんか?
歯磨きはお口のケア(オーラルケア)の一番の基本ですが、最近ではテレビのコマーシャルやSNSで、電動歯ブラシが多く紹介されるようになりました。当院の最新のユニークなデンタルグッズのコラムでも取り上げましたね。
ただ、電動歯ブラシと一言で言っても、その種類や特徴は様々です。皆さんの中には「どんなものを選択したらいいのかわからない」「自分に合った電動歯ブラシがどういうものかを知りたい」という方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、そんな電動歯ブラシについて、特徴や選ぶ際のポイント、気をつけて欲しい点について詳しくお話していこうと思います。
そもそも電動歯ブラシってどんなもの?
電動歯ブラシとは、手で磨く歯ブラシにはない歯垢除去効果を得られる機械式の歯ブラシのことをいいます。手磨きでは届きにくい場所や、お口の中の歯垢除去効率を上げてくれるというのが最大のメリットでしょう。
ただ、電動歯ブラシといっても商品によって歯垢除去へのアプローチが異なり、その特徴も様々です。現在の電動歯ブラシは、その駆動方式によって大きく3つの種類に分けられています。
※以下では分かりやすく商品の具体例を挙げますが、当院が使用を推奨しているわけではございません。ご了承ください。
電動歯ブラシの種類
①電動式(回転・振動するタイプ)
歯ブラシ部分が回転、もしくは振動し、歯面の歯垢を除去していきます。手で磨くブラッシングの動きを電動で行うイメージを持っていただくと分かりやすいかもしれません。
②音波式
200〜300Hzほどの音波振動を発します。この音波によって生まれる気泡によって、歯面にブラシの先が接していなくても、歯垢を除去することができるという仕組みです。
歯面や歯茎に直接ブラシの毛先を当てるのではなく、微細な音波によって歯垢を除去するので、歯肉が傷つくことなく、汚れを除去できるのが特徴です。
③超音波式
1分間に120万〜160万Hzの超音波振動が発生し、歯垢内の細菌の連鎖を断ち切ってくれることや、歯垢付着の元になる物質までも破壊してくれるという特徴があります。
音波式と比べて、ブラシから発生する振動が細かいため、振動はほとんど感じられません。
電動歯ブラシ3種の得意なオーラルケアは?
電動歯ブラシの種類についてお話ししてきましたが、それぞれに得意とするオーラルケアがあります。
歯周病予防には「音波式」「超音波式」
歯周ポケット内の細菌へのアプローチが必要な歯周病予防には、細かい振動が発生する「音波式」「超音波式」が向いていると言えるでしょう。
歯肉への負担も少ないので、歯肉が傷ついたり弱っている方にもおすすめです。
歯垢除去には「電動式(回転・振動するタイプ)」
歯垢除去効果が最大限に発揮されるのは「電動式(回転・振動するタイプ)」です。しっかりブラシが動くので、物理的に歯垢を除去するという点では、虫歯予防効果が最も期待できます。
ただ、他の2種類の電動歯ブラシと比べると、刺激がやや強いので、歯肉を傷つけるリスクもあります。歯周病などで歯肉に炎症が起きている、歯茎が弱っているという方にはおすすめできません。
電動歯ブラシの使用で知っておくべきこと
電動歯ブラシをこれから購入される方、もしくは今すでに使用しているという方も、ぜひ知っておいて欲しい電動歯ブラシの使用上の注意点についてお話しします。
手で磨く歯ブラシと電動歯ブラシの違い
冒頭でもお伝えしたように、電動歯ブラシでのブラッシングは、手を動かして磨く歯ブラシではなかなか行き届かない部分の汚れを落とすことができるのがメリットです。歯垢除去の効率性の点で、手磨きと電動歯ブラシとでは大きな違いがあります。
一方で、手で磨くタイプの歯ブラシは、電動歯ブラシと比べ、硬さ、毛の量、大きさなど種類が豊富で、個人個人に合ったものを選ぶことができるため、その時の歯肉や歯の状態に合わせて歯ブラシを変えることができます。
現在では、電動歯ブラシも毛先のタイプが複数ある商品が販売されていますが、種類の豊富さの点では手磨きの歯ブラシの方が優位かもしれません。
「電動歯ブラシは動かさなくていい」は本当?
「電動歯ブラシは歯に当てれば勝手に歯垢を落としてくれるのだから、特に動かさなくても良いのでは」と思っている方はいらっしゃいませんか?
実は、ご紹介した電動歯ブラシの3種類のうち、超音波式の電動歯ブラシは、振動がする幅がかなり細かいため、手で磨く時と同様に小刻みに動かす必要があるのです。
一方、電動式(回転・振動)や音波式は動かす必要がありません。このように、使用する電動歯ブラシの特徴によって、その使い方が異なることはぜひ知っておいていただきたいポイントです。
電動歯ブラシは使い方を間違えないことが大切
お伝えしたように、電動歯ブラシは手磨きでは落としきれない歯の汚れを除去することができ、日常のブラッシングケアの質をアップしてくれます。
ただ、正しい動かし方ができていなかったり、もしくは使い方を間違えると、手磨きよりもプラーク除去が不十分になったり、逆に歯や歯肉を傷つけてしまうこともありますので、電動歯ブラシを使用する際は、その特徴をしっかり理解し、正しい使用方法をマスターすることが大切です。
電動歯ブラシの選び方
ここまで電動歯ブラシの種類やその特徴について、手磨きと比較しながらお話してきましたが、ここからは、電動歯ブラシを選ぶ際のポイントについてお伝えしていきます。
価格帯
電動歯ブラシは数千円から数万円するものまで様々で、価格が高いものは、やはり高機能な商品が多くなります。
しかし、ご自身のお口の状態に、必ずしもその高スペックが合うとは限りません。歯周病予防を重視するのか、もしくは虫歯予防を重視するのかなど、ご自身のお口の状態と価格とのバランスを考慮して購入するのが良いでしょう。
電動歯ブラシの形態や重さ
電動歯ブラシの重さは約100g前後と、歯ブラシ1本15gと比べると重さがあります。また、グリップ部分の太さや形、歯ブラシの毛先の形態なども好みが分かれる部分でもあります。
毎日使用するものなので、実際に手に取って、納得のいくものを選択することをおすすめします。
電源タイプ
電動歯ブラシは、電源が充電式と乾電池式の2つのタイプがあります。いずれもコードがないため、使用するうえでの違いはありません。
乾電池式は電池の取り替えが必要になるため、充電式と比べ、やや手間がかかるという欠点がありますが、持ち運びに便利というメリットもあります。外出先にも持参しやすいので、自宅以外でも使用したいという方には適しているかもしれません。
ご自身のお口に合った電動歯ブラシを
今回は電動歯ブラシの種類や選び方、知っておいていただきたいポイントについてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。
電動歯ブラシの種類やメーカーは多岐に渡りますので、どれを選べばいいのか迷ってしまうという方も多いかもしれません。そんな時は、やはり歯科医院でご相談いただくのが良いでしょう。
今のお口の状態をきちんと診断してもらい、歯科医師や歯科衛生士からどういったケアが必要か、注意するべき点は何かなどのアドバイスを受けることで、自分のお口に合った電動歯ブラシが選択しやすくなるはずです。
ポラリス歯科・矯正歯科は、患者さんの日頃のオーラルケアについても、丁寧にご説明させていただいておりますので、ご自身に合った電動歯ブラシを探している方も、お気軽にご相談いただければと思います。