歯科治療中に、お口に水が溜まるのが苦手な方へ

歯科治療中に、お口に水が溜まるのが苦手な方へ
 

歯科医院での治療中に「お口の中に水が溜まるのが苦手」、あるいは「鼻で息がしにくい」という方がいらっしゃいます。

 

もちろんポラリス歯科・矯正歯科では、患者さんのご意向を一番大切にしていますので、遠慮なくおっしゃっていただければ良いのですが、一般的には、歯科治療では水を多く使用します。

 

歯科医院でも水を使う際には色々な工夫をしていますが、どのような点に注意すれば、楽に治療を受けられるのでしょうか。今回は、お口の中に水を溜めているのが得意ではないと感じていらっしゃる方に向けて、ご説明していきましょう。

水の出る機器が多い歯科治療

水の出る機器が多い歯科治療,スケーラー,タービン,エアローター,エアポリッシャー等
 

冒頭でも触れたように、歯科診療では水を使用する機器が多いのは事実です。どんな方でも歯科医院を受診すれば、そうお感じになるでしょう。

 

もちろん水を使用するのにはきちんと理由があります。水によって歯の表面を清潔にしたり、歯の温度を調節したり、歯の形を整えたりするために用いられているのです。具体的に、いくつか水を使う治療機器を挙げてみましょう。

スケーラー

歯石やプラークを除去するために超音波や水圧で振動させる器具です。水はスケーラーの先端から噴出し、歯の表面を洗浄します。

タービン

歯を削るための高速で回転する器具です。タービンの先端から水を噴出し、歯の温度を下げて、熱傷を防ぎます。

エアローター

歯の形を整えるために低速で回転する器具です。水はエアローターの先端から噴出し、歯の表面を滑らかにします。

エアポリッシャー

歯の着色汚れやステインを除去するために、粉末と水を混ぜて噴射する器具です。水を粉末と一緒に歯の表面に当てて、汚れを落とします。

 

これらの機器を用いた処置は、歯科治療において重要な役割を果たしています。ただ、水が口の中に溜まることで、不快感やむせる感じを覚える方もいらっしゃるかもしれません。

水が喉へ流れ、むせてしまうのは?

水が喉へ流れ、むせてしまうのは、嚥下(えんげ)という飲み込む動作が上手く行えていない可能性が考えられます。
 

水が喉へ流れてむせるのは、嚥下(えんげ)という飲み込む動作が上手く行えていない可能性が考えられます。

 

嚥下は、口から入った水や食べ物を食道に送り込むために、口や舌、喉頭、咽頭などの筋肉が連携して行われる複雑な反射です。この反射がうまく働かないと、水や食べ物が気管に入ってしまい、誤嚥(ごえん)という状態になります。

お口に水が溜まって不快感を感じないように

もちろん歯科医院では、お口に水が溜まりすぎないよう、細心の注意を払います。実際にどのような対処をしているのか、ご説明しましょう。

こまめな吸引

口腔内バキューム
 

口腔内バキュームという機器を使い、お口の中の水をこまめに吸引することで、患者さんの呼吸や嚥下を助けています。口腔内バキュームは、口の中に入れるチューブ状の器具で、水や分泌物を直接吸い取ります。

 

吸引する際には、以下のような点にも注意します。

 
吸引時間おおよそ10秒以内とし、極端に長くしないようにします。長時間吸引すると、粘膜や気道を傷つけたり、低酸素血症を起こしたりする可能性があります。
吸引圧力吸引する圧力も適切に調節します。高すぎる圧力で吸引すると、粘膜や気道を傷つけたり、出血を起こしたりするリスクがあるためです。
吸引後吸引した後には、呼吸状態や粘膜の色・状態を観察しています。異常があれば速やかに対処できるようにします。

排唾管

排唾管
 

口の中に溜まった唾液や水を吸引するために、口腔内に排唾菅というチューブ状の器具を入れます。

 

特に苦手意識のない患者さんでも、口の中に水が溜まると、呼吸がしにくくなったり、むせたりすることがありますが、これらを排唾管で吸引することで、呼吸を助けることができます。

顔を横に向ける

歯科治療中に顔を横に向けるのも、誤嚥を防ぐための対策として有効です。顔を横に向けることで、水が気道に入るのを防ぐことができます。

 

また、顔を横に向けると、口腔内の水分が口角から流れていきやすくなり、喉頭や気管の位置も変わるため、水が気道に入りにくくなります 。

チェアを少し起こす

チェアを少し起こす
 

治療中に、チェアを少し起こすというのも有効です。こちらも同様に、チェアを少し起こすことで、口の中の水分を口角から出しやすくなり、喉頭や気管の位置も変わって、水が気道に入りにくくなります。

鼻呼吸

歯科治療中は鼻呼吸がおすすめ
 

これは患者さん側の対策となりますが、歯科治療中は、鼻呼吸がおすすめです。鼻呼吸をすることで、治療中の口腔内の水や唾液が喉に入ることなく、気道を確保することができます。

 

また、鼻呼吸は口呼吸よりも空気の流れがゆっくりなので、治療器具の音や振動にも過敏になりづらいというメリットもあります。

舌の筋力不足の可能性も

口を開けながら鼻呼吸ができない方は、もしかすると、舌の筋肉が上手く使えず、お口を閉じられないことも考えられます。

低位舌とは
 

滑舌が悪い?それって低位舌(ていいぜつ)が原因かものコラムでも解説しましたが、舌の筋力不足は低位舌が原因のこともあります。その場合は、MFT(Oral Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)などによる舌の筋肉トレーニングがおすすめです。シニアの方は、総入れ歯についてのコラムで触れた、パタカラ体操なども有効ですね。

 
パタカラ体操
 

また、耳鼻科に通っている方は、歯科の治療について相談すると、耳鼻科の先生からアドバイスをもらえることもあります。

お口に水が溜まるのが気になる方は遠慮せずお伝えください

 

ポラリス歯科・矯正歯科ではしっかりとしたカウンセリングに基づき、患者さんの治療を行います。冒頭でもお伝えしたとおり、お口に水が溜まるのが苦手な場合も、遠慮なくおっしゃってください。

 

また、辛い時は我慢せずに伝えましょう。治療中に水が喉に入った時、我慢してしまうとかえって危険です。器具が口の中の粘膜に当たって、傷つけてしまう可能性もあります。

 

お口に水が溜まるのが辛いからと、歯科医院から足が遠のいてしまうのは、お口の健康のために良くありません。他の歯科医院でそのような経験があっても、安心してポラリス歯科・矯正歯科にお任せください。

 

ポラリス歯科・矯正歯科は、医療法人社団 千仁会の理念に基づき、患者さんが心地良く、通いやすい歯科医院を作ることをスタッフ一同で目指しておりますので、何でもお気軽にご相談いただければと思います。